b型肝炎のエンテカビルを使用した治療

医師23

b型肝炎の治療の選択肢として、インターフェロン療法以外にも核酸アナログ製剤を服用する方法があります。

ただし、耐性ウイルスや副作用に注意が必要な薬のため、専門医ときちんと相談しながら薬の飲み方や薬の調整をすることが大事です。ここでは、エンテカビルを中心にb型肝炎の核酸アナログ製剤の治療に関して詳しく紹介しています。

排除ではなく増殖を抑えるクスリ

b型肝炎の治療でインターフェロン療法とともに主流なのが抗ウイルス作用を発揮する核酸アナログ製剤による治療です。b型肝炎に対して治療効果の高い抗ウイルス薬として、近年、開発が進められています。b型肝炎ウイルスは遺伝情報としてDNAをもっているDNAウイルスですが、増殖するときには、遺伝情報がRNAにチェンジし、そこから再びDNAを作り出していきます。

このRNAからDNAに戻る過程のことを逆転写といいますが、核酸アナログ製剤は、その逆転写を抑制する作用を持っている薬です。人の体において遺伝子の情報が、DNAからRNAにチェンジすることは普通にあることです。

通常は、このRNAからたんぱく質を作り出すシグナルが送られ、必要なたんぱく質の合成が行われます。つまり、正常な体であれば、逆転写という過程はないのです。核酸アナログ製剤は、この逆転写の抑制のみに働くため、ウイルスの増殖を効率よく抑えることができます。

耐性ウイルスがあらわれることも

核酸アナログ製剤は、インターフェロンが注射薬なのに対し、飲み薬という手軽さがメリットになります。しかし、治療効果を得るためには長期的な服用が必要です。途中で服用をやめてしまうと肝炎が再燃したり、重症化することもあります。

ですが、長く飲み続けていると、薬剤耐性と呼ばれる核酸アナログ製剤が効かないb型肝炎ウイルスが出現します。b型肝炎ウイルスは、DNA上に増殖に関わっているYMDDという遺伝子配列を持っていますが、核酸アナログ製剤のうち、ラミブジンを服用しているとYMDDがYVDDあるいはYIDDに変異し、薬が効きにくくなるうえ、変異したb型肝炎ウイルスが増殖してしまうのです。

近年、ラミブジンはアデフォビルという核酸アナログ製剤と2剤併用で服用することで、薬剤耐性ウイルスができにくくなることが分かってきましたが、現在、b型肝炎の治療において第一選択薬となっている核酸アナログ製剤は、3種類です。

エンテカビル、テノホビル、テノホビル改良型です。インターフェロン療法の再治療薬としても推奨されています。

エンテカビルの効果は

現時点で、最も新しい核酸アナログ製剤は、テノホビル改良型で、テノホビル自体は、もともとHIVの治療薬として承認された薬です。b型肝炎の治療薬としても承認され、改良前のテノホビルの薬剤耐性の出現レベルや抗ウイルス効果はそのままに、副作用を軽減したのが改良型になります。

3種類のうち、最初に保険適用されたのが、エンテカビルです。慢性のb型肝炎の治療薬として高い効果が期待できる薬です。b型肝炎ウイルスのDNAポリメラーゼという逆転写の際に必要な酵素を選択的に阻害してくれる薬となり、ウイルスの増殖を防いでくれます。

1日1回の服用でよく、0.5mgが適量ですが、初めての治療でラミブジンを選択して効果が出なかった人に対しては、1mgが必要です。

また、ラミブジンとアデフォビルの2剤併用していて、効果が出なかった場合、第2選択薬においても2剤併用がよいとされているため、エンテカビルにテノホビルを組み合わせることで薬剤耐性ができにくくなります。初回治療において、エンテカビルを選択した場合、95パーセント以上の人が、b型肝炎ウイルスのほとんどを消失しています。

抗ウイルス効果や長期的な副作用の少なさは、テノホビル改良型とそう変わりありませんが、エンテカビルの場合、5年ほど服用すると、耐性ウイルスが出現することもあるため、薬剤を変更することもあります。

どんな流れで治療はすすむか

核酸アナログ製剤を使用して治療をするとき、初回治療のスタートから12ヶ月間検査を行い、効果の有無を判断します。短期的な治療目標となるb型肝炎ウイルスの陰性化が達成できたかどうかを確認して、その後の治療方針が決定します。

治療効果が不良の場合には、他の種類の核酸アナログ製剤に変更し、効果が良好でも副作用の兆候があれば、副作用が出にくいものに変更していくのが一般的な流れです。以前は、ラミブジンのみが保険適用になっていたこともあり、薬が変更になることもありましたが、エンテカビルが登場してからは、その効果の高さから変更する度合いも減ってきています。

エンテカビルから変更する可能性のある薬は、テノホビル改良型です。ラミブジンやアデフォビル、エンテカビルの服用によりできた耐性ウイルスにも有効だからです。ただし、テノホビルは一緒に服用してはいけない薬があるのに対し、エンテカビルは基本的にありません。

初回治療の選択において、こうした兼ね合いから、どの薬を選択するかは専門医と相談しながら決めていくことになります。

b型肝炎にうつらないようにする工夫

いつ治療は終了するのか

エンテカビルをはじめ核酸アナログ製剤で治療をするとき、ウイルスの増殖を防ぐ薬のため、完全排除することはできません。そのため、10年以上の服用が必要なケースがほとんどです。

途中で服用を中止すると、重症化のおそれもあるので、どこで治療を終了するのかの判断は非常に難しいものです。仮に、中止する場合には、最低でも核酸アナログ製剤を2年以上服用している上、中止後のリスク管理ができるというのも一つの条件です。

加えて、肝臓の繊維化が軽度で、肝臓の予備機能も良好で重症化しにくいケースでなくてはいけません。

さらに、b型肝炎ウイルスが検出感度以下であること、HBe抗原が陰性であること、再燃リスクをスコア評価したときに、低リスクに該当する場合などに、肝臓専門医が判断して中止することも可能です。そして、最も安全に中止できるのは、HBe抗原を核酸アナログ製剤により、基準値近くまで減らしてから、ペグインターフェロン療法に切り替える方法です。

インターフェロンと核酸アナログ製剤を組み合わせる方法は、新しく開発されたもので、この方法をとることで、徐々に服用を減らして安全に中止することができます。